ALMEC VPI海外オフィスからPlanning & Management Consultant
原発見学
 昨年、フィリピン・ルソン島の西海岸にあるバターン原発を見学する機会を得た。バターン原発はエネルギーショックを機に1976年に建設が開始されたが、スリーマイルやチェルノブイリの原発事故後の反原発世論の高まりなどを受け、一度も稼働することなく1986年に廃止となった。現在は世界で唯一内部まで見学できる原発として世界各国から見学者を受け入れており、日本からの見学者も多数受け入れているとのことである。1時間以上に及ぶバターン原発の概要及び原子力発電に関する講義の後、原発内への見学がスタートした。巨大なタービンや発電機、中央制御室を見学後、ニュースでもよく耳にする"格納容器"に入り"制御棒"を実際に見たときはなかなか感慨深いものがあった。
 日本では先の震災以来、将来の原子力政策が大きな議論となっている。見学を通して原発を安全と思うか危険と思うか、原発は必要か否かの考えは人それぞれだと思うが、少なくともその存在意義について考えるきっかけにはなった。バターン原発の見学は事前予約が必須だが個人での見学も可能である。しかし施設維持費が莫大で取り壊されるとの話もある。見学希望の方はお早めに。

岡村 誠(海外室)

写真:バターン原発の外観

バターン原発の外観

モンゴル新体制と本邦研修の成果
 今年6月にモンゴル国政選挙が実施され、長らく続いていた人民党政権から民主党に政権が移ることとなった。モンゴルでは政治が変わると行政も変わってしまうため、中央省庁・ウランバートル市ともに高官クラスは全てメンバーが変更されることとなった。これまで築き上げてきたネットワークや技術移転が途切れる心配もあったが、幸い新政権は都市開発への関心が高く、ゲル地区(インフラ未接続の住宅地)へのインフラ接続や住環境改善を公約として掲げている。
 ウランバートル市の新市長を含む7名の高官が参加する、都市開発実施能力向上のための本邦研修を9月に実施した。市街地再開発事業に関する講義や現地視察、民間企業や行政(旭川市、北海道庁)との議論を経て、これまでのモンゴルの都市開発の仕組みを見直す機会を提供出来た。また、市長から国土交通省やJICAに対して、「モンゴルの市場経済への転換期、市民が経済危機に瀕していた時に真っ先に支援してくれたのが日本であり、感謝申し上げる。東京や旭川の街をこの目で見て、安全で快適な街づくりをすることが行政の使命であることを強く認識した。」というお言葉を頂いた。日本人は当然と感じている、安全で快適な街づくりや日本の制度・技術・ノウハウの素晴らしさを、研修に同行した私も強く認識した次第である。

阿部 朋子(海外室)

写真:ウランバートル市長による旭川市長の表敬訪問の模様

ウランバートル市長による旭川市長の表敬訪問

写真:札幌赤レンガ庁舎前での記念撮影の模様

札幌赤レンガ庁舎前での記念撮影


ヤンゴン居住環境
 ミャンマーにおける調査で、世帯訪問調査を担当している。調査票設計のためにこれまで集めた情報を紹介したい。カウンターパートであるヤンゴン市はYCDCと省略する。調査対象地域は、YCDCの管轄地域(人口約514万人)とその周辺部も含めている。
 まずは都市サービス。水道はYCDCが全市に供給しているが、乾期になると水圧が低くなり供給できない時間帯も生じる。場所によっては水源が井戸、雨、川ということもある。下水は雨水排水があるが、雨が降ればすぐ冠水する。電気は、YESB(Yangon Electricity Supply Board)が周辺部も含めて供給しているが、自家発電(モーター、ソーラー)や近所への売電もある。都市ガスはない。ゴミ収集や道路の清掃は、YCDC地域内では行われている。インターネットはホテルや ネットショップで普及しつつあるが、接続状況は良くない。
 居住環境は、都心部は6階建て程度の集合住宅が多いが、たまに20階建てくらいの高層アパートも見かける。周辺部は板張りの簡素な造りの家になっている。
 移動手段は、自家用車はまだ少なくほとんどがバス。また、少しだが環状鉄道、川を渡るための船もある。都心ではバイクと自転車の利用は禁止されているが、周辺部ではバイクや自転車によるタクシーが主であり、小川を利用して自家用ボートでの移動もある。市内の車のほとんどが中古車だが、最近では輸入規制が緩和され、一部で新古車に入れ替わりつつある。特にタクシーはボロボロのものが多い中、小型で小綺麗なものも増えている。ちなみに料金はメーター制では なく、距離に応じた交渉制である。
 実際に生活しているとタクシーでどこにでも行けるし、各国料理のレストラン、大型スーパーマーケットもあって、生活環境は悪くはない。だが、調査を実施するとなると、管轄権によるデマケーション争いや、統計や地図といった基礎情報の未整備が問題となっている。

酒井 夕子(海外室)

写真:ヤンゴン市周辺部の村落にある家

ヤンゴン市周辺部の村落にある家(水を貯める甕が外にある)

写真:ヤンゴン市中心部のアパート街(中華街)

ヤンゴン市中心部のアパート街(中華街)

ラオスに電気自動車を
 世界各国で導入が進んでいる電気自動車ですが、ラオスでも普及させるための準備がJICA支援により始まっています。後発開発途上国の一つであるラオスに高価なイメージのある電気自動車を普及させることに疑問を持たれる方もいるかと思います。石油燃料を 100% 輸入に頼っているラオスにおいて、電気であれば99% が国内生産で供給できることが一つの大きなメリットとなります(将来的には 100%)。
 また、国内の発電所は全て水力のため、ラオスの電気で走る電気自動車は燃料の生産過程でも環境負荷を削減できます。他にも、都市規模が小さいことやモータリゼーションが始まったばかりであるため普及させやすい可能性があること、所得が低いからこそ運用費用の低い電気自動車が必要ということも考えられます。
 ラオスでは既に電気自動車が数十台走っており、中国製のミニバス、ゴルフカートなどが市内バスや観光地周遊、ショッピングセンター利用者の送迎に使用されています。ラオスにおいて電気自動車を今後普及させていくために必要なことはたくさんあり、電気自動車の導入・運用に関る法制度の設置から、電気自動車普及委員会の設立、普及啓蒙活動、自動車及び電気関係の技術者の育成、電気自動車のためのインフラ整備などが挙げられます。
 また政府の取組だけではなく、民間セクターの参加が何より不可欠な政策です。日本の電気自動車普及のためには自動車メーカーだけではなく、改造電気自動車や自作電気自動車を生産している中小企業がキープレーヤーになる可能性があるとも言われています。そんな中小企業の方々がラオス、そしてアジアに進出してきてくれるようなベース作りをしていければと思います。

渡邊 千華(海外室)

写真:ビエンチャンの電気ミニバス

ビエンチャンの電気ミニバス

写真:世界遺産都市ルアンパバーン街並み

世界遺産都市ルアンパバーン街並み


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